診療ノート
タキモト動物病院

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診療ノート

4月30日(火) 優しい人たち
 

慌しい4月も今日でおしまい。なんとか倒れることもなく乗り切ることができました。勤務時間を自主的に延長して頑張ってくれたVTに感謝。もっと忙しい5月を前にしても、なんだか余裕で頑張れそうです。

  午前に某愛護団体の方が猫ちゃんを連れて再来院されました。
初診の時に伺ったのですが、この猫ちゃん、両目が見えない状態で河原で保護されたそうです。目が見えない上にけっこう老齢、がりがりに痩せていました。これでも保護した直後に比べて太ったとか。
目が見えないこの猫ちゃんを、了解の上で飼ってくれる里親を募集中とのことでしたが、なんと、それでも良いから里親になりたいという方が現れたそうです。保護して里親を探してくださる方に巡り会えた上、目が見えないことを承知で飼ってくれる方にまで出会えるなんて、この猫ちゃん、幸せかもしれません。さらに治療の甲斐あって片目が見えるようになっていました。

初診時に、左目は角膜穿孔後の虹彩前癒着、右目は水疱性角膜症という病気で真っ白に濁っていました。ところが目薬を続けているうちに右眼の水疱がしぼんで角膜が少しづつ透明になっている様子でした。角膜をもっと透明にしてくれる血管の新生も始まっており、もっと視力は良くなって行くように思えます。
いや〜、良かった。

新しい飼い主さんのところで、幸せな老後が送れるように祈っております。

 4月24日(水) 膿皮症
 

一日中、雨がいつ降るかとはっきりしないお天気でした。お昼の往診はなんとかセーフでしたが、病院の終わり頃になってとうとう降り始めました。

  めっきり温かくなり、この時期から増えてくる病気の一つに「膿皮症」があります。
特に皮膚の表面が膿んでしまう「急性湿潤性皮膚炎」とか「ホットスポット」と呼ばれるものが多く、急に皮膚の表面が赤くなって毛が抜け、独特の臭いのある滲出液で周辺の被毛がベトベトになってしまう激しい症状が見られます。またこの皮膚病では局所的な痛みが強く、飼い主にすら病変を見せることを嫌がるワンちゃんも少なくありません。またこの病気、進行が早く、一日で病変部の面積が2倍になってしまうことも珍しくありません。

さて、この病気の原因は細菌の感染に他なりません。そのため、治療は抗生物質の内服が中心となります。とはいうものの何らかの基礎疾患があってこの病気を併発しているケースも少なくありません。アトピーや外耳炎のコントロールは充分にできているでしょうか?
また、この病気はシャンプーの後に発生することも多いようです。回数が多すぎたり、人間用のシャンプーや食器用洗剤で洗っていたり、すすぎが不充分であったり、生乾きのまま外へ出したりと、不適切なシャンプーはこの病気の引き金になってしまいます。お気を付けください。

 4月23日(火) 猫の尿道閉塞
 

今日は午後から雨。そんな悪条件でも患者さんはやって来られます。気合を入れて診察しないと。
  今日も尿道閉塞の患者さんが来院。今日は雄猫です。腹部を触診すると膀胱はすでにパンパンの状態。完全に尿道が閉塞しています。ペニスを見ると尿道口から白い石が覗いて見えています。尿道結石による閉塞ですね。

  完全にオシッコが出なくなっているのはかなり危険な状態です。腎臓が絶えず血液の中からオシッコの中へと排出しているカリウムというミネラルが、血液の中にどんどん蓄積して行き、高濃度になったカリウムが心臓の収縮を止めてしまうことがあるからです。
それゆえ、いち早く尿道閉塞を解除して膀胱内に溜まったオシッコを出してやり、再び腎臓が機能できるようにしてやる必要があります。

まず、尿道口からペニスの中を柔らかいカテーテルを入れて洗浄してやります。小さな砂粒のような結石が無数に洗い出され、血の混じった尿もピーッとほとばしり始めます(気を付けないと、私の白衣に赤い点点が)。その後、細いカテーテルをペニスから膀胱の中にまで挿入し、オシッコを全て抜いてやります。

比較的軽い尿道閉塞ですが、この後も注意が必要です。
さあ、次は膀胱炎の治療と食餌療法が待っています。
それから、尿検査。ゲッ、ペーハーが6.0?
そう言えば、流れ出した結石もサラサラじゃなくてチクチクする。
ちょっとやっかいかも。
その意味は獣医さんのみわかる。

 4月21日(日) 会陰ヘルニア
 

今日は雨の一日。それでも予防の季節の日曜日、そこそこ患者さんがいらっしゃいます。多くは予防の患者さんなのですが、重症の患者さんも来院されます。本日一番の重症は犬の会陰ヘルニアの患者さんでした。
  肛門の横が腫れて膨らみ、おしっこが昨日から出ないとのこと。肛門の横が膨らんでいるのは会陰ヘルニアという病気。この部位の筋肉が薄くなり筋肉の隙間から内臓がヘルニアとして皮下まで脱出している状態を言います。

  超音波検査で確認したのですが、間違いなく脱出しているのは膀胱。とにかくおしっこが出ないのは良くありませんので、尿道にカテーテルを挿入し、このカテーテルから尿を抜きました。膀胱が空になると容易に腹腔内へ戻すことができました。

恐らく再発は避けられないでしょう。ヘルニアの外科的な整復が必要であることを説明しておきました。
また、反対の会陰部にもヘルニアが発生する可能性があります。この会陰ヘルニアは男性ホルモンがその発生を促すようで、去勢手術も併せて必要です。
逆に言うと、去勢手術をしていれば会陰ヘルニアを防ぐことができます。繁殖を目的としていなければ、若いうちに去勢することをお勧めします。

 4月20日(土) 予防の季節
 

4月、5月は狂犬病の予防注射、フィラリアの予防、ノミの予防と予防を目的に来院される患者さんが多い月であります。病気と違って予防に救急性はなく、それゆえ土曜・日曜に予防の患者さんが集中する傾向にあります。

  今日はそんな患者さんが集中し、たいへん忙しい一日となりました。おまけにVTの奥山さんが友人の結婚式で不在。獣医師である私、VTの中手さん、バイトVTの江本さんの3人で朝から晩まで大忙し。
幸い、緊急手術なんかは入らず、一番の重症で猫の子宮蓄膿症くらいでした(これは後日手術します)。
忙しくとも、決して手は抜きません。一年に一回、この時期にしか来院されない患者さんもいらっしゃいますので、体中スミからスミまで触って(お医者さんと違ってイヤラシイとは言われません)異常を探します。口の中から眼底まで(私の趣味?)よ〜く診察いたしました。

終わってみれば57件も診ているではありませんか。
夜勤明けの私ですが、意外と元気です。
スタッフの皆さんお疲れ様でした。明日も頑張りましょう!

 4月19日(金) 膝蓋骨脱臼
 

昨日、休診中に床面のワックスがけを業者さんにお願いしました。そして今日、けっこうな有機溶剤の臭いに苦しめられました。来院された患者さんにはご迷惑をおかけしたかもしれません。この場を借りてお詫び申し上げます。おそらく明日以降もしばらくは臭うでしょう。

  さて本日はチワワの膝蓋骨脱臼の手術を行いました。
膝蓋骨というのはいわゆる膝のお皿。自分のお皿を膝を伸ばした状態で触って見ると分かるのですが、わずかに左右に動きます。大腿骨と言うふとももの骨の溝(滑車溝と言います)にはまりこんでいるため、そう大きくは動きません。この滑車溝が浅いがために膝蓋骨が滑車溝の外にはずれてしまった状態、あるいははずれたり戻ったりする状態を膝蓋骨脱臼と呼びます。

膝蓋骨脱臼は小型犬に多く、先天性の場合もありますが、たいていは発育中に発生するようです。
また、ほとんどがはずれたり、戻ったりしている軽症例です。
ワンちゃんを抱き上げたりした時に、足がカクカク鳴るような感触がすることはないでしょうか?そんなワンちゃんはおそらくこの病気を持っていると思われます。

さて、今日手術をしたワンちゃんは、両足ともにこの病気にかかり、ちょうど一年前にひどかった右足の手術を行っています。軽いほうの左足も、やはり気になるということで今回手術を行うことを決められました。
手術はまず、膝の内側を5,6センチ切開し、膝蓋骨のすぐ内側を切開して膝関節を露出します。次に膝蓋骨を外して露出させた滑車溝の表面の軟骨を小さなノミを用いて薄くはがし、フラップを作ります。その軟骨フラップの下にある滑車溝の底面の骨をマイクロエンジン(歯医者さんが歯を削る機械のようなもの)を用いて削り、滑車溝を深くします。溝が滑らかになったところで軟骨フラップと膝蓋骨を元に戻し、切開部位を縫合して終了です。

膝蓋骨脱臼の手術には様々な術式がありますが、当院ではほとんどがこの術式です。良い点は生体外の物質(ねじなどの金属)を体内に残さないことです。
術後は当然ながら、びっこが一時的にひどくなりますが、最近では良い鎮痛剤が開発されているため以前より早く足が使えるようになります。

膝蓋骨脱臼のワンちゃんすべてに手術が必要と言うわけではありません。しかし、状態によっては放置することで下腿骨(すねの骨)が捻れてきて、かなりびっこがひどくなることがあります。足がカクカク鳴っているワンちゃんを飼育されている方は獣医師の先生にご相談することをお勧めします。

 4月18日(木) 狂犬病の集合注射
 

申し訳ありませんでした。パソコンの不具合でしばらく更新不能になっておりました。
  「早く新しいパソコンを購入いたします。」

  さて、更新のできない間には色々なことが有りました。
4月には例年ある行事ですが、「狂犬病予防のための集合注射」が先日まで行われており、私もVTを一人連れて、午前の外来を休んで集合注射に参加しておりました。
今年はお天気にも恵まれ(全て晴れ)、事故もなく終えることができました。

もともと集合注射は市町村単位の自治体の主催で、それに獣医師会が協力する形で行われています。戦後、日本から狂犬病を絶滅させることができたのは、この集合注射による予防の徹底に他なりません。
清浄国の日本であっても、狂犬病の予防注射は大切ですし、法律によっても義務付けられています。しかしながら現在、狂犬病の予防を「集合注射」で行うことに対する疑問も存在しています。
1)短時間で多数の犬に対して注射を行うため、充分に健康状態をチェックして注射を行うことができないこと。
2)1頭の犬に対して、1本の注射器注射針を使うという基本的かつ重要なことを守っていない獣医師がいるということ。
3)ほとんどの地域に動物病院が存在するため、動物病院へ行くことがさほど困難でなくなり、集合注射の必要性が低下してきていること。
4)自治体とは無関係の営利目的の集合注射が行われ、登録等の業務が不充分になっていること。
私自身も集合注射に参加しており、正直言って、この期間に病院から離れないと行けないのに困っています。午前休診の連絡はしていますが、この期間にかなりたくさんの患者さんが来院され、仕方なく帰られていきます。

ここでお勧めしたいのは、やはり、狂犬病の予防注射はかかりつけの動物病院で受けられるということです。ほとんどの動物病院で、集合注射に行くのと同じ値段で、充分な診察を行った上で予防注射してもらえます。市町村への手続きも代行してもらえると思いますので、来年からでも検討してください。